CADを初めとしたIT技術の進歩は、モノづくりのプロセスを激変させました。
データを用いることで、仮想空間でのさまざまな検討が可能になったのです。
例えば、従来は試作品ができてからでしか行えなかった部品の組付け性検討や、事故のリスクを冒さずに生産ラインに並ぶロボットの動作スピードを高速化する検討など、生産準備段階での開発期間短縮に大いに役立っています。
弊社では特に生産ラインに並ぶロボットの動作シミュレーションを得意としています。下に挙げました例以外でも、お気軽にご相談ください。
自動車の生産ラインは、テレビなどで見るように溶接ロボットが所狭しと立ち並び、想像以上のスピードで作業をこなしています。ロボットのスピードは生産量に直結するため、可能な限り速く動作するようにプログラムされます。
スピードを増すほど衝突などの事故のリスクが高まりますが、ロボットが製品や設備はもとより、他のロボットと衝突することなく整然と動作しているのは、事前の綿密なシミュレーションのおかげです。
シミュレーションの質を確かなものにするために、当社ではラインが設置される工場の実測から始めます。工場建設時の図面だけでは、長年の改善活動を経た工場の実情は把握できないからです。こうした地道な活動によって、精度の高いシミュレーションを行うことができます。
シミュレーション前の下準備として、ロボットを含めた工場のデータ化が必要になります。
シミュレーションの精度を高めるためには、実際の工場とデータをできるだけ近づけなければなりません。
当社では最初にお客様からいただいた図面を元に3Dデータを作成します。
次に、実際に休日の工場へ赴き、工場の各部をレーザー測長器で図りながら、3Dデータと異なる部分がないか検証します。
初期データに無いケーブルが現地で見つかった例
設備モデリング例
実際の工場を忠実に再現したデータを利用して、シミュレーションを行います。
ロボットや設備同士の干渉が無いかチェックしながら、ライン上にレイアウトしていきます。
溶接ラインの場合は、溶接ガンの選定や改造を行った上で溶接打点位置を設定し、ロボットを動作させる準備を進めます。
ロボット本体は、補正姿勢の検討や、搬入姿勢の検討も行います。
溶接ガン検討
打点検討
ロボットと設備の性能を最大限に引き出す動作プログラムを作成します。
待機位置から目的の打点まで移動し、治具等を避けながら打点をたどっていく軌跡で、最も効率のよいルートを追及します。実際に動かしながらでは試せないようなハイペースの動作も、シミュレーションで煮詰めておくことができるため、事故のリスクなしで高効率を追及できます。
このようにしてロボット一つ一つの動作を煮詰め、最終的には一つのライン全体が最高の効率を生み出すようにプログラムを調整します。
オフラインティーチングの担当者が実機ティーチングにも立ち会うことで、データ上での問題点や懸案事項を現場オペレーターに伝えることができます。
ティーチング完了後、ストップウォッチでタイム計測します。規定時間が満たせない場合は配分変更などにより能力向上を図ります。
生産ラインシミュレーションで培った技術を活用した各種事例をご紹介します。
新車種の投入に合わせたライン移設工事について、事前にデータでシミュレーションを行い、新旧設備間の干渉等の問題を洗い出し、スムーズな移設工事を実現しました。
結果として立ち上がり不具合ゼロ件を達成しています。
工場に出入りするトラックの流れをシミュレーションし、効率的な運行スケジュールの作成を行いました。
生産ラインでボディに対して組付ける様々な部品について、データで組付け性検討を実施しました。
ハーネスからエンジンサブフレームまで、車両内外を問わずあらゆる部品の組付け性を検討して設計上の不備を洗い出しました。
特に組付け軌跡が難しいドアガラスやコンソールボックスなどは、1件当たりに時間をかけて取付け軌跡を作成し、周囲とのクリアランス確認や工具作業性の検討を行いました。